火をつけられた草の炬火はそれを持っている人を焼くが それを放した人を焼きません  

火をつけられた草の炬火(たいまつ)は

それを持っている人を焼くが

それを放した人を焼きません

諸々の欲望はその炬火に譬(たと)えられます

諸々の欲望は

それを放さない人々を焼くのです

わずかな欲楽のために

大いなる安楽を捨てなさいますな

多髭魚(たしぎょ)が鉤(釣り針)を飲んで

あとで苦しむようなことをなさいますな

まずどうか、諸々の欲望を制御なさい

あなたは(欲望という)鎖に繋がれた犬のようなものです

実に諸々の欲望はあなたを食いつくすでしょう

飢えたチャンダーラ(賤しい人)が犬を食べるように

諸々の欲望に耽(ふけ)っているあなたは

限りない苦しみと多くの心の煩悶(はんもん)を受けるでしょう

はかない欲楽を捨てなさい

尼僧の告白 テーリーガーター 中村元訳

詩句の大いなる集成 スメ―ダー尼篇

スメーダー尼は

マンターヴァティーの都を治めるコンチャ王と

第一王妃との間に産まれた

美しい王女だと伝えられています

スメーダー王女は

容姿端麗と言われるアニカラッタ王の

第一王妃として嫁ぐ予定でしたが

迷いの生存を離れたスメーダー王女は

ブッダの教えに従い

出家することを願っていました

約束の日に宝石と黄金で身を飾り

多くの従者に囲まれ

結婚式へとやってきたアニカラッタ王は

「王位には権勢・財宝・主権・楽しい快楽があります

諸々の欲楽を享受されよ

欲望の快楽は世にも極めて得難いものです」

と、スメーダー王女に話しかけます

また

「わたしはあなたに王国を託しました

栄華を享受なさい

人々に施しをしなさい

憂いに沈んでいてはいけません

あなたの両親は苦しんでおられます」

と話しかけますが

迷妄を離れたスメーダー王女は

「諸々の欲楽を喜んではいけません

諸々の欲楽にはわざわいのあることを見なさい

四洲の主マンダータルは

欲望に※耽溺することを極めた人でしたが

「※耽溺 (たんでき)我欲に夢中になり、そればかりを追求すること」

ついに満足することなく死にました

彼の欲求は最後まで叶えられることはありませんでした」

と答え、出家することを望みました

母と父とアニカラッタ王が

地上に坐り泣いているのを見た王女は

「甘露が存在するのに

なぜ熱で焼き焦がす諸々の欲望を求める必要が

あるのでしょうか?

あらゆる欲望の快楽は

燃え上がり、煮えたぎり、むらむらと怒り立ち

焼き焦がしているのです」

と声をかけ

冒頭の言葉を伝えたということです

そして

諸々のつくりだされたもののうちに

楽しみを得られないスメーダー王女を見て

共に泣いていたアニカラッタ王は

立ち上がり合掌して

「スメーダーをゆるして出家させてあげて下さい

彼女は解脱の真実を見る人となるでしょう」

と彼女の父に懇願し

スメーダー王女は出家を許されたそうです

この詩句の最後は

このような言葉で結ばれています

無上の知慧ある人(ブッダ)のことばを信ずる人々は

このように語る

「彼等は迷いの生存を厭う。それを厭うて汚れを離れる」

スメーダー王女のような

権勢・財宝・主権・楽しい快楽という

この世の享楽を得るチャンスがありながら

それを得ようとしない人を

世間では変わった人やバカなどと呼びますが

それは世間と感覚がずれている

あの人はストイックな人だからなどどいう

つまらない理由ではなく

多くの人には見えていない世界が

はっきりと見えていて

またその見えている世界が

比べ物にならないぐらい甘美で

素晴らしいことを知っているからであり

またそこに行く道を

きちんと理解しているからです

このように考えてみると

多数が正しく、少数が正しくないという判断基準など

何の意味も持ちませんが

私ももっともっと大きな

「大いなる安楽」という智慧を学び

欲望という鎖に繋がれ

欲望に支配される世界にとらわれることのない

自由なバカでありたいと思っています

人生の選択はひとつではなく無限にあります

ひとつのことにこだわらず

選択の幅を増やすことは

人生を豊かに生きる

助けになると思っています

あなたの志は何ですか?

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